
2008年9月のリーマンショック以降世界的な景気後退局面を迎えましたが、フランスワインへの具体的な影響を見ますと、2009年第一四半期の輸出総額は前年比28%減(6億2,500万ユーロに相当)で、弊社のワインファンドには関係ないものの、減少したカテゴリーで最も大きかったのがシャンパーニュでフランスワインの輸出減少分の大部分を占めています。数多くの合併や買収を経験してきたシャンパーニュ業界はここにきて再々編の動きが出始めているようです。
ブルゴーニュも第一四半期の輸出量は前年比約30%減でしたが、同地方の主要輸出国の構成を見ると、アメリカとイギリスだけで全体の約40%を占め、減少分全体の90%が両国分の減少となっています。残念ながらこれを埋めるには至っていないものの、中国をはじめとするアジア各国の需要は伸び続けている状況です。
一方ボルドーはブルゴーニュよりも市場が広域に分散しており、第一四半期の輸出量も前年比で約12%の減少に止まりました。
フランス農業者連合会の発表によると、2009年第一四半期のフランス国内の大規模流通業者によるワイン販売量は、前年比で101.3%と僅かながらも増加に転じており、この期間の販売額は9億800万ユーロに達しており、フランスワインの内需は回復の兆しが見えてきています。
2009年上半期は輸出面では最大市場のアメリカと欧州の主要市場イギリスの落ち込みが顕著でしたが、同期間に懸念されたほどの価格の落ち込みがありませんでした。これは、中国、香港などの中国系市場の伸びが価格を支えたようです。
同時期の中国本土への輸出は金額ベースで前年比約111%、香港への輸出は約126%とリーマンショック以降も着実に伸びました。中国での伸びは生活・食事習慣の欧米化、富裕層の増加などによるワイン消費の拡大が主な理由であり、同様に香港での伸びはワイン税の撤廃で消費者の購入意欲が刺激され、同時に外資のワイン関係の会社が多数進出した点、そして中国本土に輸出されるワインのトランジットエリアとしても存在感を大きくしており、ワインに関するアジアNO.1のハブ市場を目指している香港当局の政策が功を奏したものと見られます。
シャトー・ラフィット・ロートシルト、カリュアド・ド・ラフィット、デュアール・ミロン、ランシュ・バージュなど中国で人気の高い銘柄は堅調に価格が上昇に転じ、旧正月向けの買付が活発化する10月以降は、さらにプラス方向に転じると思料されます。
輸出に関しては中国系頼みといった感がしないでもありませんが、中国市場に関してはアルコールの消費全体に占めるワインの消費の割合が低い=今後も伸びるポテンシャルがあると言え、発展途上の現在でさえボルドーワインの輸入金額では、早ければ来年にも中国が日本を抜いてアジアで最大のボルドーワインマーケットになりそうです。
現状では、アメリカ、イギリス、欧州各国、日本などの主要マーケットと、ロシア、韓国などのポテンシャルの高い新興マーケットの落ち込みを、中国系のマーケットの伸びが穴埋めしている構図となっており、価格が上昇する銘柄にも若干偏りが見られます。
暴騰しなくとも全面的に確実な右肩上がりとなるには、上述の主要マーケットの経済環境が好転し、新興マーケットの伸びがそのままワインマーケット全体の伸びとして反映される状況となるまで、もう暫くの辛抱が必要なようです。