
アメリカのサブプライムローン問題に起因する金融、商品市場の混乱がマスコミを賑わせていますが、その状況下、ワインの消費はどうなっているのでしょうか。
渦中の現場とも言えるアメリカのワイン市場について、商品販売動向を調査する当地のリサーチ会社、ニールセン社が6月に発表した「酒類の消費形態に関する米国市場調査レポート」によると、米国の消費者は、不況下であっても、家で飲むアルコール購買量は減らないとの結果が出ています。
サブプライム問題から金融危機が起こり、アメリカ経済は急速に冷え込んでいることは衆目の一致するところですが、ニールセン社の調査では、自宅消費向けの酒類販売は影響を受けておらず、実際、同調査の回答者の8割以上が、自宅向けのお酒の購買金額は前年比で「同じ程度」、或いは「増えている」と回答しており、「減った」と答えているのは、全体の2割にも満たないとのことでした。
ニールセン社のアナリストDanny Brager氏は、「原油の値上がりや経済不振によって、個々の消費者のもつ全体の支出は確かに減っているかもしれないが、外食産業以外でのお酒の購買に関しては景気の影響をほとんど受けていない」と語り、同氏によると、「お酒は、多くの消費者にとって財布が許してくれる自分へのご褒美の中の一つ」なのだそうです。
次に世界のワインマーケットをここ数年間活況に導いてきた新興市場の代表とも言える、中国の市場について考えてみましょう。
5月27~29日の日程で、香港のコンベンションセンター(HKCEC)において、ワイン・スピリッツの国際見本市「ヴィネクスポ・アジア−パシフィック」が開催されました。
5月27日の開催式には、 唐英年(ヘンリー・タン)香港特別行政区政務長官が挨拶し、ワイン税を廃止した香港で第5回ヴィネクスポ・アジア−パシフィックが開催されたことを祝福し、「今後、香港はアジア地域のワイン市場にとって戦略的な位置づけとなるだろう」と語りました。
また主催者発表によれば、今年は、香港、マカオを中心に、その他の地方の中国、韓国、シンガポール、日本などアジア18カ国から、およそ8,500人にのぼるワイン業界関係者が会場を訪れ、2006年に開かれた前回より24%増加し、来場者数は過去最多になったとのこと。
中国では主要な都市に大小様々なワイン・インポーターが増え続けており、ワインに対する関心の高まりは中国沿岸部のみならず、内陸部にも着実に浸透してきています。
発展著しい中国市場の北京オリンピック以降の落ち込みを懸念する向きもありますが、そもそも中国のワイン消費量は人口1人当り750mlボトル1本に満たない量(日本で5~6本、フランスでは約60本)で、増え続ける中産階級から富裕層の数を考えれば、オリンピックの有無に関わらずワインの消費は今後も伸び続けることが予想され、さらには前述の香港におけるワイン税撤廃に続いて、年内中に中国における高級ワインの一大消費地であるマカオでもワイン税が撤廃されることが決まり、発展中のワイン市場を当局の政策が後押しする形となっています。
世界経済の後退は予断を許さない状況にあるものの、中国とその近隣マーケットにおけるワイン市場は今後も発展する余地が十分にあると考えられます。